これについて、私もフラメンコを習い始めた頃疑問に思い先生にお聞きしたことがあります。今日はフラメンコを踊る際の「気持ち」「感情」についてたこ的見解を書きたいと思います

フラメンコと感情・表情・表現１　「不自然な表情」

アレグリアス

フラメンコを始めて2年目の事です。アレグリアス、という曲を習っていました。

「アレグリアス」は「歓喜」「喜び」などの意味のあるスペイン語です。

「そうか、喜びの曲なのか♪」と思い、単純なたこはレッスン中も全然踊れてないくせに表情だけにこにこして踊っていました。そのとき先生に

「ねえ、たこさん。今、本当に楽しい？」

と聞かれました。・・・・・いや、全然楽しくないです。だってクラスで一人だけパソ（ステップ）取れてないし、リズム遅れてるし、下手だし。

とにかく落ちこぼれてるから・・・・・。そう、当時のたこさんは「落ちこぼれのたこ」と自分で言ってしまう程にクラスの中で落ちこぼれていました。

本当は

しんどいな～～～

分からないな～～～

悔しいな～～～～

クラスメイトの足引っ張ってるな。申し訳ないな

なんでできないんだろう？

と、思っていました。なので先生にこの時は素直に上記の事を伝えました。

そうすると先生は

「そうですよ。アレグリアスだからってニコニコしていないといけないってことはないんですよ。その時のありのままの感情でいいのよ。アレグリアスの歌の内容も実は複雑で悲しみの先の喜びを歌ったものもあるし。その時悲しかったら悲しい感情でアレグリアスを踊ってもいいんですよ、そこから踊っているうちに感情が変わってくることもあるから、楽しいと思えた瞬間にそういう表情になればいいんだし」

とお話ししてくださいました。その瞬間、すっと気持ちが軽くなり涙が溢れました。

フラメンコと感情・表情・表現２　でも・・・曲に合わせるべき時も

シギリージャ

しかし、どんなに楽しくても笑顔が合わない曲などもあります。私がこよなく愛するシギリージャ。この曲は

「救いようのない悲しみや苦しみ復讐・絶望」

などが織り込まれたフラメンコです。ですのでやはり笑顔で踊るわけにはいきません。でも、実はこのシギリージャ、絶望だけの唄でないのです。私がフラメンコを始めた年、スペイン人講師の「チェンチョ」という男性講師が来日していました。私はフラメンコを始めて3か月目ではじめての発表会の為にで教室に入り浸っていました。

チェンチョ先生はいつも歌を歌っていたのですが（道路でも大声で、しかもすごい音痴で）とても心打たれる歌を歌っていたので、勇気を出して聞いていました。

たこ「それは何という曲ですか？」←日本語

チェンチョ先生「シギリージャだよ。苦しみとか、悲しみとか絶望とか歌っているんだ」←という意味のスペイン語

たこ「・・・・苦しい曲ですね」←日本語

チェンチョ先生「でもね、最後のマチョという部分で一筋の光が見えるんだよ。まだ手にしていないけど光を掴みに歩きだすんだよ。そういう曲なんだよ」←というスペイン語

・・・・へ～～～～絶望からの一筋の光か・・・・いつか踊ってみたいな。

そして10年たち、今、私はこのシギリージャを持ち曲としているわけですが、最初の出ていくまではマルティネーテを聴きながら今まで体験した、悔しかったこと悲しかったことなどを走馬灯のように思い出し感情を作っています。

「シギリージャとして歩きなさい」これは私が師事している日本人講師・長峰晴香先生からのアドバイス。シギリージャそのものとして歩く、というのをテーマに歩く練習だけひたすら何時間も動画を録りながら練習していた時期もありました。

私の場合、こうしてシギリージャを作った後、踊りだしたら作ることをやめます。

後は湧き上がってくる感情のままシギリージャを踊ります。そして最後に希望の一筋の光に向かって去ります。ここはチェンチョ先生のお話ししてくれたことをずっと、守っています。

タンゴ・フラメンコ

タンゴ・フラメンコという曲種があります。アルゼンチンタンゴや競技ダンスのタンゴとは全く関係ないフラメンコの4拍子の曲です。4拍子の曲で曲調は分かりやすかったのでレッスンで楽しく踊っていました。

その時に教えてくださっていたベアトリスというスペイン人講師の先生が一緒に踊りながらこちらを見て

「タンゴハ　イタミ　、タンゴハ　カワキ」

と叫びました。・・・・そうか、曲調が明るくても根底にあるものは別のものの時があるんだ。と知った瞬間でした。

フラメンコと感情・表情・表現　まとめ

上記のように自分の今の感情からアプローチする方法と曲の成り立ちからアプローチする方法があります。どちらも正解です。

そしてどちらも「踊っているときに湧き上がる自分の感情を大切にしている」という共通点があります。

ここさえ大切にしていれば、どのような感情・表情で踊っても間違いではありません。

ただ、フラメンコの成り立ちやその曲の根底に流れるものなど、把握したうえで自分の湧き出る感情を乗せていくほうがより深くフラメンコを楽しみ事が出来るのではないでしょうか。

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